塾

この前、韓国である小学生の女の子の悩みがマスコミに報道されました。その女の子にとって、それはとても深刻な悩みでした。そのせいで学校ではよく居眠りをしたり、食欲もなかったり、学校ではいつも元気なく机の上にうつぶせになっているので、友達から見ると病気の人のように見えるからです。その子の悩みは、「塾」でした。小学校4年生なのに12個の塾に通っているので、夜12時過ぎてやっと布団に入るそうです。
その子に幸せかとリポーターが聞くと全く幸せではないと言いながら、友達と遊びたい、夜8時間以上ぐっすり寝たいと話したそうです。その子には、塾が人生の大きな荷だったのです。女の子は、英語、政治、歴史の塾だけやめてほしいと訴えたそうです。
韓国の子どもたちは、まるで勉強のために、塾のために、大学に入るために生まれたように見えます。もちろん、子どもを12個も塾に通わせている心境が理解できないわけでもありません。そうしている親の心はただ一つだと思います。子どものためだと。子どものために大金の教育費を払うまで、自分たちが犠牲していると思うかもしれません。他の親はそうしてあげれないから、逆に親に感謝せよと言うかもしれません。しかし、それが本当に子どものためなのか、真剣に考えるべきです。なぜなら、自分の子どもが他の子どもよりついていけないとだめという考えが強くあるかもしれないからです。人に見せる自分のイメージのために、子どもを押しているかもしれません。つまり、親が自分の貪欲を満たすために、子どもを追い使わせているかもしれません。こうすると、子どもたちは、合法的に児童虐待の罠にかかってしまいます。夜熟睡できない、友達と一緒に遊べない、学校ではいつも疲れて居眠りするばかり…これは、まさにものすごい虐待です。もし他のある理由で子どもがこういう状況になっていたら、きっとニュースに報道されるでしょう。社会的な問題になるのに違いありません。しかし、世間は決してこれを深刻だと思いません。人間の貪欲が、悪を悪として見ることができないようにします。塾の監獄は、監獄として見ることができません。子どもにとって本当の監獄は、塾かもしれません。塾地獄、入試地獄という言葉がよく使われています。しかし、塾の監獄は塾地獄よりもっと軽い言葉です。親の欲の罪によって、子どもを牢屋に入れてはいけません。外で思いっきり遊んで走り回る自由を与えなければなりません。これがまさに子どものための道です。子どもは、親の欲を満たせる道具ではありません。
私が子どものごろは塾というのがありませんでした。小学校時代を振りかえてみると、睡眠時間で悩んだこともなりし、学校から帰ってくると友達と夕暮れまで外で遊びました。もちろん、家の仕事も手伝いながらです。しかし、それが大人になって全く何の支障にもなりませんでした。どうして小学校時代にもっと勉強してなかったんだろうと後悔する人と会ったこともありません。人々はそう言います。隣の人、他のマンションの人、皆が塾に通わせているから、もし通わせないとうちの子どもだけ遅れるのではないの？そういうことで、全社会が過剰の熱気から抜け出すことができなくなっています。
ひとつはっきりしているのは、子どもの時から熱心に塾に通っている今の子どもたちが、決して思いっきり遊んでいた昔の子どもたちより学習能力が優れたり、大きなことを成し遂げることができるということではないことです。逆に、人格だけでなく、色々な面で衰えつつあるということが報告されます。
結局、子どもたちだけ大変になってしまいます。私たち皆が、貪欲から起きて立ち上がらなければなりません。私たちは、子どもたちを健やかに育てる義務があります。子どもは、親の貪欲の道具ではなく、世の中で自由に生きるべき人格体です。