水道工事
 
渡辺和子さんの本に、こういう話があります。
「3歳くらいのお子さんの手を引いて、一人のお母さんが水道工事の現場の傍を通りかかりました。お母さんは坊やに向かって、『おじさんたちが、汗を流して働いていてくださるから、坊やは、おいしいお水が飲めるのよ。ありがとうと言いましょうね。』と話してやりました。やがて、もう一人同じように幼い子の手を引いて、別の母親が通りかかりました。『坊や、坊やもいまから一生懸命にお勉強しないと、こういうお仕事をするようになりますよ。』」
これは、親子の間で普通にある会話かもしれません。誰でも、何気なく話せるようなことかもしれません。しかし、子供に向かって何も考えずに話した母親の一言がその子の価値観を作り、人生観を決めるということを私たちは知っておくべきです。親は、子供に対して一言でも常に気をつけなければ行けません。白紙のような子供の心に、その言葉が消せない絵を描いているからです。
最初の母親は、とても立派な人です。子供の心に感謝の気持ちを育てました。水を飲むことも、誰かの汗を流した苦労があるからで、食べ物を食べることも誰かが一生懸命農事をしたからだということを教えます。自分のお金で買って食べるものでも、苦労して作った人々に感謝する心を育てます。このような教育を受けて成長した子供たちは、すべての人々に、万事に感謝する人になります。そして、決して職業によって人を評価したりしません。人を大事にする人になります。人に対する偏見がないため、すべての人を尊重し、愛する人になるのです。このような子供たちは、利己的で自分しか知らない子にはなりません。もちろん、他人からも認められ、愛される子になります。
ところで二番目の子供は、大変な結果をもたらします。もちろん、母親は子供のごろから一生懸命勉強させるために、挑戦用でその言葉を言ったかもしれません。しかし、その副作用はとても大きいです。子供の人格は、利己主義で差別主義になってしまいます。子供は、その時から、水道工事をする人は勉強をしていなかったからあのような仕事をするのだ、あれはいい職業ではない、と無意識の中で認識してしまいます。人を学力で差別し、職業に対する偏見で満たされます。その子は、人の上に立つことを人生の目的としてすでに決めてしまいます。親が何気なく子供にした話が、その子の人生を決めます。賢明な親は、自分の感情や思っていることをそのまま子供に言いません。子どもは、親の感情を発する対象ではありません。神様が神様の嗣業として預けてくださったのです。子供に言う時には、常に教育の観点から言うべきです。今私たちがやっていることは、神様が与えてくださった白紙に絵を描いているのだという考えを忘れてはいけません。今私たちが言う一つ一つの言葉が、子供の心に線を引くことになります。そして、それが集まって子供の価値観を決めます。親は、誰よりも自分の子供に言葉を気をつけなければなりません。言葉の筆で、心の紙に、人格の絵を描いているからです。子供に話す時には、神様の御言葉を言うように話なさいと言われます。聖書は、御言葉を心に留めるようにと語られています。それは、心に御言葉を持って絵を描くことです。親が言う一つ一つの言葉は、子供の柔らかい心に刻まれ、イエス様と似た人格の絵を描いてくれるでしょう。神様は、親の口を通して子供の心に絵を描いておられます。あなたの子供の心には、今どの絵が描いていますか。もし、消して描き直したい心の作品はありませんか。子供の価値観は、親の口の作品です。