メンター（mentor）
 
 
成功話を自慢すると「コンデ（注：韓国語で父·先生·年寄りなどを指す隠語・俗語）」になり、失敗話を聞かせるとメンターになるという話があるます。牧師も、説教する時に自分の失敗話や過ちを話すと、信者たちが恵みを受け、好かれるようです。他人に良い姿を見せることだけが必ずしもいいことではないですが、人々は自分の完璧な姿を他人に見せたがります。相手はそれによって自分に反感を持ったり、関係が遠くなるかもしれないということがよく分からないからです。逆に、自分の長所ばかり自慢すると、相手が認めてくれると錯覚をします。
　ある田舎の村に、判事の息子を持つ人がいました。田舎で判事の息子がいるということは、自慢しそうなことでしょう。しかしその判事のお母さんは、自分の気に入らないことがあれば、村長にも「うちの息子に電話しようか？」と言いながら、人を暗に脅かす（？）という話を耳にしました。まるで、子どもが外で友達に殴れらたら「ママに言うよ！」と言うように。
　また、ある判事はマンションの騒音トラブルで上階の人の車をパンクさせ、その上ドアの鍵穴に接着剤を入れたそうです。自分は偉い判事なのに町の人たちが分かってくれないから、判事の権威でどんでもなにことに威を振るったのです。町で認められるために自分を出すことより、自分を低くすると逆にもっと多くの人々から尊敬されるのに、それが難しいようです。自分を自慢すればするほど、みにくくなるということを大勢の人々が知らずに生きています。他人に見せようとすると、人々はもっと無視するし、静かにいる時に人々はもっと認めてくれるという真理が知らないようです。認められようとして行動するとより認められなくなり、謙遜に黙っているともっと大事にされるという普遍的な真理を、私たちはよく忘れています。自慢と威勢は、決して徳になりません。逆に、恥をかくことになるでしょう。
　イエス様の教えを思い浮かびます。婚宴に招待された時に、自分の席を自分が決めないようにとおっしゃいました。他人が席を決めてくれるまで待つようにということでした。そうすると恥をかかないと。もし、自分より身分の高い人が来て、主人がその席はあなたの席ではないので、あなたは末席に座ってくださいと言われたら、それはとても恥ずかしいことになるからです。逆に、自分が末席に座っているのに主人から上席を勧められると、それは光栄になるでしょう。
 
 
「婚宴に招待されたら、上席に着いてはならない。あなたよりも身分の高い人が招かれており、
 
あなたやその人を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかもしれない。そのとき、あなたは恥をかいて末席に着くことになる。
 
招待を受けたら、むしろ末席に行って座りなさい。そうすると、あなたを招いた人が来て、『さあ、もっと上席に進んでください』と言うだろう。そのときは、同席の人みんなの前で面目を施すことになる。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」
（ルカによる福音書14章8節―11節）
 
　自分は、自分自身が高くするのではありません。他人から高くされるのが本当の価値があります。いつ、どこに行っても、いつも低い者の姿で、謙遜な姿で行く時、人々は彼が好きになりその人を高く上げるでしょう。
イエス様は、もっとも低い者として馬小屋でお生まれになりました。そして、十字架でもっとも低い者の姿で死なされました。イエス様のこの地上でのお姿は、謙遜の極致でした。それで神様は、キリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。
 
「互いにこのことを心がけなさい。それはキリスト・イエスにもみられるものです。」
（フィリピの信徒への手紙2章5節）
 
　高慢な人は人々が嫌がりますが、謙遜な人のそばにはいつも人々が集まってきます。自慢をたくさんする人は人々から嫌われますが、失敗話を言う人は人々から好かれます。「コンデ」は、自分の成功を自慢しますが、「メンター」　は自分の失敗話を聞かせます。