枠
 
 
アンデルセンは、誰でもよく知っている世界的な童話作家です。しかし、彼は恵まれていない環境で幼年時代を過ごしました。貧しくて、父はアルコール中毒者で、幼い息子をよく虐待しました。そういうことにも関わらず、彼は後で自分の過去について次のように述べました。「考えてみると、私の逆境はまさに祝福でした。貧しかったため、『マッチ売り少女』が書けたし、みにくいといじめられたために『みにくいアヒルの子』の悲しさがリアルに書けました。」もし、彼が裕福な家庭で育ったら、マッチ売り少女の切なさは分からなかったし、彼が虐待されたことがなったら、みにくいアヒルの子の痛みも決して表現できなかったに違いありません。幼いごろの不幸が、彼の作品世界にとって純金のような大事な材料になったわけです。
　聖書のヨブ記は、霊的だけでなく、文学的にも多くの人々に影響を与えました。トインビーの挑戦と応戦の歴史、ゲーテのファウスト等の基本の枠にもなりました。イギリスの歴史家のトーマス・カーライルは、ヨブ記について「文学的に完璧で、他にこれに比肩できる文学的価値の作品は皆無である。」と絶賛したそうです。
　ヨブは、無垢な正しい人でした。そのような彼が、いきなりすべてを失ってしまいます。まず、財産を全部なくします。今の言葉で言うと、世界的な事業家がいきなりつぶされてしまったことです。物乞いのようになってしまいました。そして、10人の子供も、自然災害で1日で皆死んでしまいました。彼の妻はヨブを捨てて家出をしました。その上、全身はひどい皮膚病にかかりました。もし、あなたの人生がこうだったら、どう反応しますか。一般的に、だめになってしまった人生を酒でもっと壊し、自分の人生を自らあきらめるかもしれません。ヨブの偉大さは、その時の反応にありました。ヨブは、そう反応しなかったです。ヨブは逆に反対の反応をしました。彼は、環境の枠に考えが閉じられた人ではありませんでした。多くの人々は、条件の枠の中に閉じ込められています。その枠の中だけで考えるため、希望は見えずに確実な絶望だけ彼をつかまっています。一番無能で一般的な枠が、理性の枠です。この枠は、理性的な限界を超えることを防ぎます。これは、ある意味で合理的な方法かもしれません。妥当に見える経験的な方法かもしれません。もっとも現実的な方法かもしれません。しかし、この枠の中に閉じられている人は、人生に苦難がある時自ら苦しみながら墜落してしまいます。与えられた条件に徹底的に従いながら死んでいきます。それ以上の考えができないからです。
　ところで、ヨブやアンデルセンが使った考えの枠は、理性の枠とは違いました。それは、信仰の枠です。彼らは、理性の枠を破って出てきた人々です。もし、アンデルセンが前の枠に閉じ込められていたら、彼は決して『みにくいアヒルの子』の傑作を書けなかったでしょう。変わりに、自分が「みにくいアヒルの子」に転落してしまったかもしれません。彼は、環境の枠に閉じ込められ、自分の人生を終わらせたかもしれません。もちろん、ヨブも理性の枠を破られなかったら、一般の人々が歩んでいった墜落の道を、当然のように歩んだに違いありません。この二人は、理性の枠をはるかに超えた、霊性の枠を持っていた人でした。そうする時、理性の枠は私たちを閉ざすことができません。
　考えの枠の広げるべきです。人間の限界を超えなければなりません。神様の摂理を考えなければなりません。今の環境を越えることが必要です。これを使わせる神様の素晴らしい設計図を考える必要があります。そうする時、人は現在の支配を受けません。たとえ、今がいかに死にそうな環境でも、落ち込みません。みにくいアヒルという現実に負けずに、自分が白鳥の子だという身分で立ち上がるべきです。そうする時に、神様は必ずあなたの人生を通して、この時代の素晴らしい「アヒルの子」を誕生させてくださるでしょう。谷が深いと山が高くなるように、苦難が大きければ、栄光も大きいです。