正直不感症


韓国の公営放送で、耳を疑うような衝撃的なニュースを見ました。ある市の市役所の公務員たちに関する話でした。夜9時になると、タイムカードのレコーダーが忙しくなります。市役所の外から入ってきた人々が、退勤のチェックをして帰るからです。記者のインタービューには、最初は嘘をついていました。少し外で気晴らしをしてきたという人もいて、またある人は、自分は公務員ではないとも話しました。それは、つまりこういうことでした。6時に定時退社をしてから、また9時ごろ市役所にもどってタイムレコーダーにチェックをし、3時間の残業手当をもらうということです。もっと深刻な問題は、ほとんどの公務員がそうするだけでなく、警察官までそうしているというです。つまり、良心的にタイムカードをレコーダーに入れる人は、変わった人のように扱われる雰囲気だそうです。韓国が総体的な正直不感症にかかっていると言ったら、言いすぎでしょうか。
私には、かなり衝撃的なニュースでした。韓国は経済的に非常に成長し、教育も他の国に負けないほどたくさん受けています。そうしたら正直さもあがるべきなのに、逆に後足を踏んでいるということは、あまりにも理解できません。手段と方法を選ばずに、どんなことをしても自分の腹だけ満たせばいいというふうな考え方は、私たちのためにも早く改善すべきではないでしょうか。
公務員たちがこのような道理に外れたことをすると、その金はそのまま国民の税金から出ることになります。簡単に言いますと、公務員という人たちが嘘をついて国民の金を奪っているということです。倉庫を守る人が倉庫のものを盗むということになったということです。嘘は不信を生み、不信は結局組織を崩してしまいます。
成熟な社会であるほど、正直さが欲望に勝つ社会です。社会がいかに成長しても正直さが育たないと、外側は立派に見えても、それは手抜き工事をしたのと同様です。偽りは、外はきれいに見えても、中がちゃんとしていません。安全な建物は、外側の派手さにあるのではなくて、見えない内側がどれほど堅実かによります。正直の基礎、正直の骨組みが何より強く求められる時代です。
利益と正直は、反比例します。利益を求めると、いつも正直さは脅かされます。損になることを知っていながら、嘘をつく人はいません。自分に何か益になるようだから、手段と方法を問わずに嘘をつきます。つまり、嘘は、利益の手段として使われるということです。欲をちゃんと治めないと、正直さは根付くことができません。欲望はそのまま置いておくと、無限に成長します。なので、決して欲望は、満たすことによって満足を得るということはできません。欲望は、治めることによって満足が得られます。
聖書ははっきり語られます。「欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。」
人々は、自分の欲望にだまされています。欲望をいいものだと、自分に有益を与えるものだと思っています。しかし、実は違います。欲望は、その人を嘘の沼に引き連れていきます。それだけが欲望を満たせることだと言います。それで結局、人は罪を犯してしまい、死に連れられていきます。
愚かな人は、欲望と罪を区分します。別のものだと考える人も多いです。しかし、知恵のある人は、欲望を罪と同じものだと見ています。欲望は、嘘を通してすぐ罪にいってしまうからです。
正直不感症のウィルスは、欲望です。正直のために努力するよりは、欲望のウィルスを捕まえなければなりません。そうすると、人生を丸ごと奪っていく嘘に、絶対だまされないでしょう。