「信頼」
 
ある医者の面白い話があったのでご紹介させていただきます。ある糖尿病患者に食事療法についてよく説明し、必ず実践するように勧めたようです。ところで、1ヶ月経っても、この患者の糖尿病の数値がなかなか治まりませんでした。食事療法を点検してみると、他のことはよく守られていましたが、一つ、医者の指示通りに守らなかったのがありました。それは、果物でした。果物もたくさん食べると糖尿病によくないので、量を定めておきましたが、その患者は果物をたくさん食べていたそうです。その理由を聞くと、果物にある糖は血糖を上がらせないから、たくさん食べてもいいと答えたそうです。それで、誰からそれを聞いたかと尋ねると、その患者は平気に「隣のおばさんからそう言われました。」と答えたそうです。
　色々なことを考えさせる話です。確かに、その患者は医者の言葉より、隣のおばさんの話をもっと信じました。それで、隣のおばさんの処方による食事療法を行いました。その結果、糖尿病の数値は治まらず、その患者はその分の代価を払わなければなりませんでした。とても気の毒な話です。
今、私たちの社会においても、権威に対する信頼が崩れています。子どもたちも、両親の話より友だちの話をより信じて、学生も先生の話よりインターネットの情報をより信じ、信者も牧師の話より世間の話をもっと信じる世の中に変わっています。
　権威に対する信頼を回復しなければなりません。上の人に対する信頼を回復すべきです。リーダーについての信頼を回復すべきです。
　夫婦の間に信頼が崩れてしまうと、愛が崩れます。
教師と学生の間に信頼が崩れてしまうと、学びが崩れます。
医者と患者の間に信頼が崩れてしまうと、健康が崩れます。
牧師と信者の間に信頼が崩れてしまうと、信仰が崩れます。
信頼は、信頼を生みます。自分が信頼すると、その分、相手も信頼するようになります。信頼が崩れると、共にすることが出来ません。疑いがある所には、混沌と暗闇が覆います。真理が見えなくなります。道が見えません。迷いと分裂だけ待っています。疑いの背後には、いつも傲慢があります。自分がもっと偉いのだ、もっとよく知っている、自分のほうが正しい、という傲慢の心により、専門家も無視するようになり、上の人も、権威も無視するようになります。そのため、傲慢な人は、入ってくる祝福も捨ててしまいますが、謙遜な人は、なかった祝福も招くようになります。
 
「破滅に先立つのは心の驕り。名誉に先立つのは謙遜。」（箴言18：12）
 
「私は信頼を信じる。
信頼は信頼を生む。
疑いは、臭い匂いを出すだけだ。
信頼する人は、世の中で損になることがないけれど、
疑う人は、自分と世に損害を与える。
疑いは暴力を生むが、
非暴力は信頼せざるを得ない。」　
（ガンジー）