「目がかゆい時」
 
　日本の春は、多くの人々に苦しみを与えます。この時期になると、涙や鼻水が出る人が多いです。外国人も例外ではありません。花粉症のためです。日本人の中には、3-4人のうちに1人が花粉症で苦しがっています。アレルギー対策の全般を含め、花粉症関連の市場の規模が1600兆円にも上ることから、国民的な痛みがどれほど大きいか想像できると思います。戦後に、山林政策として、日本全国に多くの杉の木を植えたのが大きな原因だと言われています。
花粉症の予防策として、花粉が付きにくい服を着る、マスク、メガネ、帽子の着用、マフラーをする、帰宅後には花粉を落とし、うがいをする、などがあります。実に、全身を花粉から遮断させることです。経験者はその苦しみがよく分かると思いますが、目、鼻、首、そして皮膚のかゆみ、不眠症まで、その苦しみは本当に大変です。
特に、花粉で目がかゆい時は、なかなか我慢できません。ところで、かゆいということで目を手でこすると、もっと大変なことになってしまいます。一度だけ軽くこすってみようと目をこすると、とても気持ちがいいです。まるで、天国のような気分でしょう。その誘惑で一度が2度目になり、2度目が3度目になり…結局、弱い目は、毛細血管が切れて赤くなってしまいます。そして、目を開けることが難しくなるほど腫れてしまいます。後で残るのは、傷と後悔だけです。「いかにかゆくても、最初我慢しなければならなかったのに、結果を分かっていても、一度だけ、軽くこするだけで大丈夫だよ、とやってしまったのか。バカ、バカ、バカ。」軽く、いや、手を少し置くだけというのがどんなに大きな誘惑なのか、後で分かります。少しこするだけで終わるのではなく、その次はもっと強くこするようになりますから。
　私たち人間の中には、このような欲望が常に潜在しています。この欲望がずっと誘惑をします。ちょっとだけ満たすと満足できる、と言います。欲望は、全く満足を知りません。満たせば満たすほど、もっとたくさん要求し、もっと強い刺激を要求します。そのため、欲望の芽は最初から摘む必要があります。育てると、もっと要求が盛んになります。私たちの人生を全部奪うまでずっと要求します。聖書は、はっきり私たちに語られています。
「欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。」（ヤコブ1章15節）
欲望の満足が、自分の満足だと錯覚してはいけません。欲望を満足させるのは、つまり自分を破滅に導きます。歴史だけではなく、現代にも数多くの人々が、金銭の満足、性的な満足、名誉の満足、快楽の満足を求めたあげく、身を滅ぼされました。今で十分なのに、大金でもない金の誘惑に陥ってしまった人、性的な快楽を求める誘惑に陥り、今まで持っていた福と名誉が一晩で崩れた人、今の地位でも十分なのに、もっと高くなろうと嘘と偽善にまみれたけれど、一瞬で倒れてしまった人…この人々は、皆、欲望の犠牲者でした。
　今で十分だと信じ、欲望に反応せず気をとらわれないと、誘惑は力を失ってしまいます。
誘惑は、不満が多い人が好きです。かゆい目を守る方法は、ただ一つしかありません。手でこすらないことです。最後まで我慢すれば良いです。そうすると、かゆみは治まり、目はどんな被害も受けません。自分の人生を本当に愛していますか。そうしたら、欲望の誘惑に手をおかないでください。満足させて、と粘っても、無視してください。そして、最後まで我慢してください。それがベスト策です。欲望に敏感な人は、きっとひどい目に遭ってしまいます。欲望に敏感な人には、不満が友になりますが、欲望に関心がない人には、常に満足が友になります。