絵日記
一人のお父さんがいました。常に彼は仕事で忙しくて、子どもたちと一緒に遊んでくれる時間がありませんでした。当然、家事と育児はすべて妻任せになっていました。自分がやるべきことは、外で働くことだと思っていたので、育児は自分の仕事ではないと思っていました。多分、育児に時間を費やすことは必要ないと思っていたのかもしれません。
ある日のことでした。末っ子の息子がすごく一緒に遊びたがっていました。ちょうど少し時間の余裕があったので、息子と一緒に一日を過ごすことになりました。彼は息子が釣りが好きなので、一日中釣り堀にいました。お父さんは日記に何も考えずに、このように書きました。「今日は無駄な一日を過ごしてしまった。明日は今日を補うためにも、一生懸命働かなければならない」。ところが息子もそばで熱心に絵日記を書いていました。息子は綺麗に絵を描いて、こう言葉を添えました。「今日はパパと一緒に釣りに行った。本当に面白かった。今日は最高の日だ。僕はパパが大好きだ。」
　両方とも言っていることは正しいです。お父さんも正しいし、息子も正しいです。それぞれの立場からみれば、どちらも正しいです。しかし二人の日記の評価は対称的でした。なぜでしょうか。これが考えの違いではないかと思います。一日中一緒に釣りをして、同じ場所、同じ時を過ごしましたが、父と息子の感想は全く違いました。一人はとても無駄な時間を過ごしたと後悔していましたが、もう一人はまるで天国にいるかのように幸せで楽しい最高の時間を過ごしたと感じていたのです。多くの人々が愛を叫んでいますが、果たして愛とは何でしょうか。愛が本当に相手のために与えるものであれば、相手の立場になって、彼をありのままに理解して、受け入れ、感じてくれるものではないでしょうか。息子の立場では、父が最高のかかわりをしてくれたことは明らかです。だから息子が最高の日だと感じたのです。ところが父の立場からみれば、時間を無駄にしたとしか感じなかったのでしょう。父は息子と遊ぶことは自分の役目だと思っていなかったからです。愛は、役目を変えることではなく視点を変えることです。その人の視点を変えてみれば、地獄も天国に変わるのです。後で父が絵日記を見た時に明らかにやりがいのある一日を過ごしたと感じるでしょう。息子の絵日記を通して、視点の変化が起こったからです。しかし、我々は他者の絵日記をあまり見ずに過ごしてきています。だから不評や恨みやイライラが絶えないことです。お互いの絵日記を頻繁に見せ合っていけば、きっと愛の花が満開になるでしょう。この人の心の絵日記には、どんな絵が描かれているのでしょうか。お互いがそんな気持ちをもっていれば、夫婦の間でも親子の間でも誰との間でも天国にいるような日々を過ごせるでしょう。お互いに天国がやってくるのでしょう。自分の日記を見ないでください。自分の日記に固執しないでください。これが不幸の始まりです。幸せを望みますか。相手の心の日記をぜひ読み取ってください。そうすれば感動と愛が溢れてくるでしょう。