「アダムとエバ」
 
聖書を見ると、アダムとエバは人類の先祖です。神様はアダムとエバのためにエデンの園をお造りになり、彼らをそこに住ませて下さいました。何一つ不自由な事無く、まるで天国のようなエデンの園で神様と交わりながら暮らしていたのです。
ところが、彼らはそこから追い出されざるを得ない重大な罪を犯してしまいます。それは、神様が断じて許されないと話されていた善と悪を知る木の実を食べてしまったことでした。
「園に実る全ての物は自由に食べていいのだが、この木の実だけは食べてはいけないのだ。これを食べた時には必ず命を落すであろう。」　
しかし、もっと大変な事が起きました。神様が罪を犯した彼らに対して話を聞いた時だっだのです。
「私がお前に食べてはいけないと話していたあの木の実を食べたのか?」
アダムは言い訳を始めました。「神様がわたくしに共に生きなさいと仰ったあの女があの木の実をわたくしに渡し、それで食べるはめになりました。」
でも、アダムが次のように答えていたら、神様はどうなさったと思いますか？
「神様、本当に申し訳ないです。このわたくしが悪いのです。
死んでも許されない罪人ですが、私を哀れんで下さいませ」
きっと神様はアダムの告白を受け入れ許してあげたと思います。
ところが、アダムは自分には罪がないと白を切るのでした。嫁のエバが渡してくれて仕方なく食べたし、それに神様が自分に伴侶を与えてこのようなことが起きたと責任から逃れようとしました。卑劣で悪質な行動、本当に酷いと思いませんか。
しかし、私たちにもアダムのような姿があるということです。
人間に起きた最初の事件の時に強く現れたものなので、どれだけ原始的な本能か察する事ができます。
人々は問題が起きると、出来る限り自分が責任を取ろうとしません。他人に責任を押し付けたり、そうするしかない理由を探し自分には非がないと主張します。アダムみたいに真っ先に自分の伴侶のせいにしたがったり、ましてや自分を産んでくれた両親にまで「どうして私をこんな風に産んだのよ」と恨みの責任を押し付けます。同僚や友にも、或いは環境や条件にまで責任を押し付けます。何とかしてでも責任から逃れようとします。
自分には問題ないのに、周りのせいで問題が起きたと言いたがります。だから問題を解決するより事態をどんどん深刻にさせる一方です。
エバもあまり変わりませんでした。
神様がエバに「お前はどうしてこのような事をやってしまったのか」と聞かれた時、もしエバが「あ〜あ〜神様〜。全てこのわたくしが悪いのです。私が罪人です。私のせいでこのような大変な事が起きてしまいました。私を許さないでください。」と答えてたらどんなに良かったでしょう。
残念ながら、エバもアダムと変わりませんでした。エバも「あの蛇が私をだましたのです。」と言い訳をしたのです。
要するに、「私は悪くないから蛇に責任を問いで下さい。」と。
人間は、最初から責任回避の専門家でした。誰かに教わったわけでもないのにです。神様は、罪を犯した時の私たちの真の姿を、アダムとエバを通じてみせて下さっています。
神様に対する不服従と根強い責任転嫁は、全人類の悪です。
この一節だけ換えると、人類の歴史が変わるに違いないでしょう。「あの人のせいです。」から「私のせいです。」に換えると。
アダムの時代から続いているこの呪いが、我々の時代で断ち切ることができることを願います。