助け手

ある家庭の話です。妻は夫を本当に愛していました。しかしその愛を、夫に対してのうるさい口出しで表現しました。手を洗うことから家事の手伝い、子供たちへの面倒、それから服を着ることまでずっと口出しながらうるさく言いました。夫は妻の行動がありがたいとは思わず、どても疲れてしまいました。それで、後からは妻の話を無視することもありました。もう我慢できなかった夫は、妻にこう言いました。「私はあなたの子供ではない！私はあなたの夫だ。」よほどプライドに傷つけられたからこう言ったのでしょう。もちろん、妻も夫の突然の言葉に大きな衝撃を受けました。夫がそこまで思っているとは知らなかったからです。
確かに妻は良い目的で夫を支えました。しかし、それが夫には良い意図として伝わらなかったのです。夫の望みとは正反対だったからです。むしろ夫を不快にイライラさせました。夫は当然夫として、妻にしてもらいたいことがあるわけで、子供扱いされることを望みません。
それでは、夫が妻からしてもらいたいことは何でしょうか。
それは、夫の手足になって最初から最後まで一々世話をしながら、口出しをすることではありません。子供たちには、お母さんの手と、色々細かく言ってあげることが必要です。それを通して子供たちは正しく成長することができます。しかし、夫は成長や変化が必要な人ではありません。夫は既に大人として成長しています。妻の目に足りなく見える部分は、まだ成長されていない所ではなく、成長した姿が少し違うだけです。妻は夫の成長に対して責任を持つ人ではありません。妻は夫に助力する人です。なので、聖書にも妻のことを「助け手、助ける者、ヘルパー」と表現し、成長させる者だとは書かれていません。助け手を他の訳では同僚、パートナーなどで表現されています。この表現は、子供とは遠い距離を持つ言葉です。自分がいつ夫を子供扱いしたのか、と言う人がいるかもしれません。その人にとっては、すべてが夫に対する愛の表現だったからです。しかし、大事なのは夫がどのように受け入れてるいのかということです。自分は夫に対して十分待遇していたとしても、相手が子供扱いされたとしたら、それは深刻な問題です。受け入れる相手の立場がより重要です。こちらがどんなに良いものを与えても、受ける人がその意図を悪く受け取ったら、与えたことではなくて受けたことが影響を及ぼすからです。
それでは、妻の助け手としてのすべきことは何でしょうか。
それは、夫に一々口出しをしながら、あれこれやりなさい、これはやめなさい、などを言うことではありません。むしろその反対です。夫がする事を認めて、夫の意見を尊重することです。その時、落ち込んでいた夫は力と勇気を得てまた立ち上がるようになります。これが助け手としての大切な姿でしょう。干渉は、即ち相手を否定することです。強くいえば、バカにすることとも通じます。そうすると、夫のプライドは妻によってひどく踏みつぶされます。間違えたと指摘し、日常生活を一々干渉しながら世話をすることが助け手ではありません。常に夫のことを認め、尊重することが本当に夫を助けることです。夫が望む「助ける事」をうまくする妻が、真の聖書的な助け手です。