ロンドンの人たち

1894年頃のロンドンはこの世で一番賑やかな都市でした。当時既に交通渋滞は深刻だったし、地下には地下鉄が走っていました。貧富の差も激しかったです。牧師であった父の任地によって、オズワルド・チェンバーズはパースという小さな都市から1889年にロンドンへ移住しました。当時、彼はわずか15歳でした。彼は1894年にロンドンで住みながら感じたことを、次のように一編の詩で表現しました。

ロンドンの人たち

忙しく追われて追い込まれるロンドンの人たち、
冷たく青白い顔をしてどこかに走っていくまぬけ者たち、
果てしなく苦労ばかりしているけど、
決してお祈りはしない。
忙しく追われて追い込まれるロンドンの人たち。

考えないで気まぐれで不敬虔なロンドンの人たち、
ずるくて欲深い残酷な略奪者たち、
切りもなく何かをするけど、
決して何も成し遂げられない、
考えないで気まぐれで不敬虔なロンドンの人たち

疲れ果ててくたびれてやつれたロンドンの人たち、
酒に酔ってひよわい悪ずれした妄想家たち、
ずっと足摺りしながら努力しているけど、
一度も休められない。
疲れ果ててくたびれてやつれたロンドンの人たち

世間ずれしていない少年の心に映った人たちの姿は、その中で生きる彼らにとっては感じられないことかもしれませんが、まるで神様が天から人間の世界を見ておられるような感じを与えます。何の考えもなくこの世で溺れてじたばたと風をつかまえようとする姿です。
彼らにはこの世と金だけが見えて、神様と祈りは見えていません。
モーセのお祈りを思い出させます。
「人生の年月は七十年程のものです。健やかな人が八十年を数えても得るところは労苦と災いにすぎません。瞬く間に時は過ぎ、わたしたちは飛び去ります… 生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように。(詩篇90:10、12)」
幼い頃からオズワルド・チェンバーズの霊性が優れていたことが分かります。この世の目で世の中を見ると、世は見えません。神様の目でこの世を見る時、やっと世の姿が見えます。上空から見下ろしたような形式を鳥瞰図と言います。人生全体を正しく見るためには、鳥瞰図で見なければなりません。それがつまり、神様の観点です。
19世紀のロンドンだけでなく、今東京でも、ソウルでも多くの人たちが世の中で目的なしで溺れています。モーセのお祈りを切に神様に捧げてみます。
「生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように」