二つの愛

親が幼い子どもの面倒を見る時は、どうも自然で喜びをもってやります。わざっと気を使いながらする必要がありません。それで、「愛は下向き」ということわざもあるのではないでしょうか。しかし、子が年老いた親に優しく尽くすことは、なかなか難しいようです。そのため、子への愛は十戒には記されていませんが、親に対する愛は、聖書に約束のある第一の掟として明示されていて、いつも意識しながら行うようにされています。親の子への愛は、自然な愛です。その愛は、そのままおいていても自然に流れます。しかし、子の親への愛は、そうではありません。意志的な愛です。ただでできることではありません。意志的な努力が必ず必要です。親の愛は、泉の水のように自ら流れますが、子の愛は土の中に葬られた黄金を掘り出すように、汗を流しながら熱心に掘り出さなければなりません。自分の子どもを連れて外食をすることは、いくら高くても飽きませんが、親とは外出を一回するだけでもどんなに難しいのか…、子のために使うお金は惜しくないと思いますが、親に差し上げるお小遣いは計算をするかちです。
それで、最近は子から寂しい思いをさせられる親が多いようです。子たちは、それがわからないものの、むしろ彼らは親思いだと思っているかもしれませんが、多くの親たちは今日も小部屋で話せずに一人で胸を痛めています。親を敬うということは、親に対して自分の基準で、自分の心のままに、自分のやりたいようにすることではありません。ひたすら親の心を察して、親の基準で、親の必要に応じて喜びを持って敬うのが本当の敬う態度です。
親の立場で親を喜ばせるいくつかの親孝行について分かち合いましょう。
第一は、記念日を必ず祝うことです。
親のお誕生日もそうですが、特に両親の日（母の日、父の日）には親に寂しい思いをさせてはなりません。親はお金がないわけではなくて、子の愛を求めています。なので、お小遣いとプレゼントを差し上げたほうがいいでしょう。そこには、子の愛と心が込められているからです。
第二は、定期的に必ず安否を尋ねることです。
「お体はいかがですか？お元気ですか？食事はちゃんとしていますか？よく眠れますか？」
それがただの挨拶のように見えるかもしれませんが、安否を尋ねるべきです。親孝行をしない人は、自分の用件だけ簡単に話して電話を切ります。それが親の心をどんなに傷つけているのか知りません。昔の人々は、寝起きには必ず親の機嫌を聞きました。何気ないことですが、親に関心を持つ一言が親孝行の焚き付けになります。
第三は、親の言葉をいつも傾聴する姿勢を持つことです。
親が年をとるほど、親の権威を認めるのが敬うことです。親の話を無視して自分の意地ばかりで怒る姿は不孝の代表的な姿です。
第四は、親の生活リズムに合わせることです。
親の家を訪ねた時や親が子の家に来た時には、いつも親の時間表に合わせるべきです。仮に、親は朝早く起きて食事も早いですが、子は自分の生活リズムで朝は遅く起きて遅めの食事を準備するとすれば、親は子といる時間が地獄のようでははいでしょうか。子を意識して早く起きても自由な動きができずに気を付けて、お腹が空いても待つしかないとすればその苦しみはどれほど大きいでしょうか。本当に親をちゃんと敬うとすれば、時間表を親に合わせるべきです。愛は配慮です。それこそが本当に親を敬う姿です。敬うというのはつまりその方にポイントを合わせることだからです。
「『父と母を敬いなさい。』これは約束を伴う最初の掟です。『そうすれば、あなたは幸福になり、地上で長く生きることができる』という約束です。」(エフェソの信徒への手紙 6:2~3)