キリノ

多くの人はキリノ大統領を知りません。彼は、1948年から1953年までフィリピンの大統領を務めた人です。 1950年には韓国戦争の時、韓国にフィリピンの兵士7450人を派遣した人です。第二次世界大戦の時に、キリノは妻と3人の子供を日本軍に殺されました。特に末っ子の子供は当時2歳だったのに、日本軍の銃剣に直接殺されました。そのようなつらい経験のあるキリノが大統領になりました。まだ反日感情が強かった1953年7月に、彼はフィリピンに捕えられていた日本の戦犯をすべて解放しました。 総105人で、その中には、死刑囚たちもいました。彼らは大統領の恵みで生きて、日本に帰ることができました。生きて帰ってきた人たちは、ただ、その驚くべき恵みに感謝の言葉しかないと言いました。しかし残念ながら、キリノは多くのフィリピン人からは非難を受けました。そこで彼は、結局その年にあった選挙でマグサイサイに大負けして、大統領職から退いてしまいました。キリノはイエス様を信じる人でした。それで、敵を許しなさいと言う主の御言葉を信じて、行動で実践した人でした。自分の家族を殺した人ですが、自分の国を占領していた人ですが、結局は自分の国民にそっぽを向かれましたが、彼はイエス様の御言葉をもって最後まで勝利した人でした。
敵を許すのは、思ったほど簡単ではありません。なので、許す人は偉大な人のように見えます。韓国では、孫　良源（ソン・ヤンウォン）牧師がいます。その方は、自分の子を二人も殺した敵を養子に受け入れ、その人を牧師にさせた方です。ある人は、許すことができない時に孫牧師を考えながら、このように言いつつ許そうとします。 『でも、あの人は自分の二人の息子を殺したわけではないから。』と。聖書には、許しに対する物語りが数多く出ています。イエス様は、一番弟子であるペテロに70回を7回繰り返しても許しなさいとおっしゃいました。
クリスチャンの最も代表的な姿は、許しです。イエス様がそうされたからです。そして、イエス様は私たちに「自分の許し」ではなく「主の許し」を表すことを望んでおられます。 「互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。 （Forgive as the Lord forgave you。）」（コロサイ3:13）
イエス様の許しは、完全な許しでした。イエス様が許せない罪人は一人もいません。そのため、私たちも許せない人がいないのが正しいことでしょう。
もし自分が死刑囚で死ぬしかない罪人なのに、自分を生かせる力のある方が急に慈悲を発揮して自由を与え、釈放してくれれば、その気持ちはどうでしょうか？あまりにも有難くて感謝して、言葉で表現することができないほどになるでしょう。イエス様は、キリノのような方ではなく、キリノを造られた方です。キリノの許しの力は、イエス様から来ました。イエス様の私たちに対する許しは、キリノの許しとは比較ができません。キリノは許してから大統領に落ちましたが、イエス様は私たちを許してから、命を失われた方です。イエス様は、死刑囚を解放してくださっただけではなく、十字架の上で彼らの罪を代わりに背負ってくれました。それで、福音は人生の最高の感動です。キリノを考える時よりも、イエス様を考える際に感動と感謝が大きいのはあまりにも当たり前のことでしょう。この恵みを悟る人は、「十字架のみもとに　こころせまり　なみだにむせびて　ただひれふす。　なみだもめぐみに　むくいがたし、　この身をささぐる　ほかはあらじ。」の賛美（『ああ主は誰がため』より4，5節）をささげるだけです。許しは最高の感動であり、力であり、福音です。