６日間の行方不明

彼は米国の有望株だった。
聖書をよく引用する信仰の人であり、連邦議会の議員時代には、住宅手当も辞退し、議事堂事務室で寝食をした。
オバマ大統領の景気浮揚策によって各州に支給される景気浮揚資金の受領を辞退するほど税金を大切にし、有名になった。
秘書たちにはポストイットの裏面まで大切に使いなさいというほど質素な生活をした。
彼は２０１２年の米国大統領選挙の候補の中で共和党の有望株だった。
現在サウスカロライナで州知事をしているマーク・サンフォードだ。
そんな彼が突然墜落した。夫人にも家から追い出され、共和党州知事協議会議長職も辞任した。何故か？家族と参謀も知らないところで、アルゼンチンの恋人（愛人）のもとにいたのである。
６日間は甘い日々だったかもしれないが、これから彼の人生はこの重い対価を支払わなければならなくなった。
彼は時遅しの涙を流した。「妻に対して信義を守ることができなかった。妻を傷つけ、子供たちを傷つけた。私は発することのできる言葉は、謝罪だけだ。」
人間には致命的な弱点が一つ有る。自己の欲望の管理がうまくできないことだ。これは、よく生きるほど、地位が高くなるほど、難しい。優れた人であればあるほど、つまずきやすい。
欲張る余裕があるからだ。時間、物質、健康、権力…このすべての余裕がある時がこわい。
余裕があればあるほど欲望の管理は難しくなる。
聖書を見ると、パウロのとげの話がでてくる。
パウロは自身の体にとげがあることについて、神様に大変感謝し喜ぶ。
何故そうだったのか？体のとげは、苦痛であり、苦難であり、つらいものであるにもかかわらずだ。
彼は大変な秘密を悟ったからだ。
自身の力でも能力でも管理できない欲望を体のとげがコントロールしてくれるからだ。彼は体のとげのおかげで傲慢の誘惑から自身を最後までまもることができた。弱点が長所になったのだ。弱点がある人は、その弱点が、私たちが傲慢にならないようにまもってくれる。弱点は、私たちを欲望からまもってくれる。弱点はわたしたちを傲慢からまもってくれる。弱点をわたしたちを統制不能からまもってくれる。弱点はわたしたちに分別をわかるようにしてくれる。
弱点に不平を言わず、感謝しなさい。弱点を恥ずかしがらず、誇りなさい。
弱点は長所に劣らず神様が下さった贈り物だ。
パウロの完全な能力は彼の長所ではなく、体のとげであったことを覚えていなさい。
誇るべき長所が多い人はいつつまずくかいつも不安だが、誇るべき弱点がある人は決して罪の誘惑で６日間身を隠すことはないだろう。
弱点は人生の安全ピンであるからだ。