慣性脱出

イスラエルの歴史は人類の大切な寶庫である。
神様はイスラエルの歴史を通して私たちに霊的な真理と肉体的な教訓を満ち溢れるほどお与えになる。
ユダヤ人は自分たちの国を丸ごと奪われ、捕虜になって他国に引っ張られて行くみじめな立場になった。
‘今行くといつ戻れるだろうか。’ ‘いや、永遠に戻れないかもしれない。’
彼らは自分たちの故国を何度も振り向き、泣きながら引っ張られて行っただろう。
彼らは捕虜生活の中で寝ても覚めても故国だけを思い、その度に涙を流したに違いない。
ところが不思議なことが起こる。
神様は彼らに大いなる恵みを注がれ、彼らの祖国に帰れる自由をお与えになったが、多くのユダヤ人はエルサレムに帰るのを嫌がった。そのため、わずかな人数だけがエルサレムに戻り、神殿を再建し始めた。しかし、彼らはすぐに神殿の再建を止めてしまい、16年間も神様の聖殿は放置されたままの状態に置かれた。彼らは情熱を失ってしまった。そのため、神様はハガイを用いて御言葉を伝えさせた。
‘今、お前たちは、この神殿を廃墟のままにしておきながら自分たちは板ではった家に住んでいてよいのか。...
万軍の主は言われる。
山に登り、木を切り出して、神殿を建てよ。わたしはそれを喜び、栄光を受けると主は言われる。’
(ハガイ1:3-9)
物質系に ‘慣性の法則’があると言うなら、精神系には‘安住の法則’がある。
停止している物体がずっと停止していようとする性質を持っているように案じて生きている人はなるべく動こうとしない。
それほど寂しくて辛かった捕虜生活さえ慣れてしまえば、落ち着くのでユダヤ人たちは夢に描いていた故郷に帰ることがむしろ面倒で負担になったのであろう。
‘安住’は人がより良い所に向かうことを妨げる恐ろしい敵なのだ。
心の慣性から抜け出す人だけが捕虜の立場から抜け出し、エルサレムに帰ることが出来る人であり、神殿の建設をやり抜くことが出来る人なのだ。
それなら慣性から脱出することが出来る情熱はどのようにして得られるだろうか。
情熱(enthusiasm)とは‘神様の内に留まる姿’を示す。
情熱がなかったユダヤ人たちに神様はハガイを用いて御言葉をお与えになった。御言葉は情熱の燃料である。
情熱が冷めたのか。御言葉を通して神様の内に留まってみよう。あなたは必ず慣性から抜け出すことが出来るエネルギーを受けるだろう。