「木工所の大工道具」

木工所の大工道具たちが集まり会議を開いた。
その時、司会者役を務めていたハンマーの資質について他の道具たちが反旗を翻したため、会議の雰囲気が険悪になった。
「ハンマーはいつも砕いて壊し騒ぐから、ここから去るべきだ。」と会員らは強く反発した。
そうするとハンマーはこう言った。
「そうしたら、鉋（かんな）も一緒に去らなければならない。いつも他人の皮をかばってくれるのではなく、むくばかりしているからだ。」
すると鉋は定規を見ながら、
「お前はいつも自分だけ正しいとし、他人を測っているから、恵みがない。」
これを聞いた定規も黙ってはいなかった。
「そう言われると、ここにいるのこぎりも連合運動はせず、分離運動ばかりしているから要らないのではないか。」
このように争っている際、大工が来てすべての道具を用い、きれいな講壇を作った。
彼らは互いに驚いた。弱点だけ持っていると思ったが、皆が連合するとこのようにいい作品が作られるということに感動しながら、幸せになった。
彼らは互いに見ながらこう言った。
「分かってみると私たち皆、使いみちのある存在だったよな。」
作られた話であるが、道具たちを通して、我らに大事なメッセージを与えている。
完全な人は一人もいない。
人間は誰でも自分なりの弱点を持っている。
時には、彼らが持っている長所が致命的な弱点にもなる。
聖書にも「正しいものはいない。一人もいない。」と書いてある。
弱点のせいで去らなければならないとしたら、世の中には一人も残らないと思う。
我らは皆弱点があるからこそ、互いに必要である。
互いの弱点を互いに補完してくれるため、
離れると弱点だらけであるが、団結すればするほど弱点は少なくなる。
人間は弱点があるから一緒に生きなければならない。それでこそ自分の弱点が解決されるからである。
しかし、このようなことをよく耳にする。
弱点でその人と一緒に暮らすのが苦しい、弱点でその人と一緒に働くことが難しいという。互いに違うことに感謝しなければならない。違うことを間違っていると言わずに、自分にない大事なものとして互いに仕え合っていく時、弱点は強みになり、不満は感謝に変わる。
与えられた完璧さはない。弱点が集まり互いに仕える時こそ、完璧さはその姿を現す。