分かち合い

　安哲秀（訳者注：1962年2月26日〜、韓国の医師、プログラマー、ベンチャー事業家であり大学教授）のメンター（訳者注：精神的な指導者）として知られている法輪僧侶が、ある日、大統領府の招待会でこんな話をしました。 「サッカーが好きだった私は、友人から10ウォンずつ集めてサッカーボールを買いました。そしてお金を出してない人たちは、ボールを絶対に使わせないようにしました。また、ビー玉遊びが上手かった私は、ビー玉をたくさん取りました。それを家の後ろの甕に埋めておきました。だから、幼い頃の友人たちに会えばビー玉遊びが上手かったという声は聞きますが、誰も私を "本当に優しかった人"と言う人はいません。もし私がその時に取った玉を友達に配ったなら、私に対する世間の評価は変わったと思います。」

　私たちは、大人になってもずっと捕まえていようと思います。そのため、世の中がなかなか成熟しません。子供たちは、分かち合うことを嫌います。他の子のものも、良いものは自分のものだと主張します。他の子に自ら物を分けてあげる子はほとんどいません。自分のものがなくなると、世界の終わりのように泣いたりもします。しかし、成熟した大人は違います。自分は飢えても、子供には可能な限り多く食べさせようとします。もし、大人たちが食事の席でお互いに自分がたくさん食べようと争うなら、本当に格好悪いことです。今日では、食卓の上で大人たちが争うことはありません。ところが、「世間の食卓」ではどうでしょうか？小さなものはお互いに譲って分かち合うように見えますが、少しばかり大きな利権が介入した問題があれば、兄弟も友達もありません。命をかけて戦います。分かち合いの不思議な恵みを知らないからです。

　イエス様ははっきり言いました。”受けるよりも 与えるほうが 幸いである。"そしてまた、より厳しいお言葉もあります。”与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。押し入れ、揺すり入れ、あふれるほどに量りをよくして、ふところに入れてもらえる。”（訳者注：ルカによる福音書 6:38より）イエス様の人生は偉大でした。世界を変えるのに十分な人生でした。なぜでしょうか？イエス様の人生は分かち合う人生だったからです。自分のお金を隣人と分かち合う生活や、自分の財産の一部を共有する程度の生活ではなく、ご自身の命を罪人と分かち合った方がイエス様でした。イエス様は十字架でご自分の血を流し、死んでいく人々のために分けました。今の世界がこれほどにも、なってるのはすべてがイエス様の命の分かち合いです。

　人々は錯覚の中に生きています。分けてあげればそれだけなくなると言います。ところが真理は異なります。分けるほど豊かになります。あふれるほど世界は豊かになります。ある分析によると、1ドルの寄付は19ドルの収益をもたらすとしています。自発的な分かち合いは、世界への驚くべき投資なのです。ないから足りないのではなく、分かち合わないから足りないのです。ものがないから世の中が貧しいのではなく、分かち合いがないから貧しいのです。分かち合えば貧しくなるのではなく、分かち合うほど豊かになります。

　強制的な分かち合いは、その強制力がなくなるとすぐに止まります。すべての人々が互いに分かち合おうとする時、まさにそこは天国になるでしょう。この地にも希望はあります。お金で作ることができない、権力で作ることができない豊かな世界を作ることができます。私たちの心の中に分かち合うというイエス様の血が流れると、必ず世界は変わるのです