本当の巨人

或る村に大洪水が起きました。
村の人は壊れた堤防や水害復旧のために集まりました。
一人の人が「我々の中で手車を２台以上持っている者は復旧工事のために１台ずつ出そうではないか」といったら、みんなが拍手をしながら賛成しました。
その後で、ある人が「手車だけあってもどうしよう？
我々の中に牛や、馬を２頭以上持っている者は１頭ずつ出そう。そうすれば、手車を引くことができるんじゃないか。」この件についても全員が異口同音に賛成しました。
そのとき一人の貧しい者がもじもじしながら云いました。
「私は手車も、牛も、馬も無いのですみません。持っているのは鶏2羽しかありません。不足なことは分かっていますが、鶏一羽を工事している人のために出します。鶏が２羽以上ある人は一羽ずつ出しましょう。」
周囲は突然静かになりました。誰も同意する人はいませんでした。なぜならその村には、牛や手車を２つ以上持つものはいなかったけれど、鶏はどの家も２羽以上持っているためでした。
出しましょう。
他人に言うには「牛１頭」は全然負担で無いけれど、実際に自分が出すには「鶏１羽」もどんなに難しいか分かりません。人は本能的に与えることよりも、もらうことに慣れています。
だから出さなければならなくなると、自分でもなぜか身をすくめてしまいます。
このような本能を上手くコントロールできる人が美しい人で、本当の巨人なのです。
受け取ることを望む人が多くなる世の中は段々殺伐としてきて、与えることを望む人が多くなる世の中は、段々と美しくなって来ます。
「差し出す」が多くなる世の中は誰が作り出すことが出来ますか？
自分の体さえも惜しまずに差し出したイエス様の末裔である、私たちクリスチャンではないでしょうか？
だからクリスチャンはまさにこの世の本当の希望です。
我々さえも倒れてしまったら、世の中に希望はありません。
「鶏１羽」も出せない世の中に「牛１頭」を声も挙げることなく差し出すクリスチャンがこの世の本当の巨人ではないでしょうか？